プラスチック敷板の強度の測定方法とは?

工事現場では人だけでなく、トラックなどの工事車両がたくさん通ります。となると敷板は、曲がったり割れたりせずに長持ちするものがいいですよね。その目安となるのが強度です。

プラスチック敷板の場合は、曲げ強度、引張り強度、圧縮強度、摩耗度の4つの強度で比べてみるといいと言われているのですが…言葉がむずかしくてよくわからない!というわけで、今回はこの4つの強度について調べてみました。

そもそも「強度」って?

さっそく調べてみようと思ったのですが、ふと「強度」の意味がちゃんとわかっていないことに気づき、まずはここから調べてみることにしました。

強度…ある定められた条件のもとで材料が示す抵抗の限界

う〜む…なんだかわかったようなわからないような…。噛みくだくと「どのくらいの力に耐えられるかどうか」という意味のようです。

似たような言葉で「剛性(ごうせい)」という言葉がありますが、これは強度とはまったくの別物。剛性は「どのくらいの固さか」つまり、変形しにくいかどうかを表すものです。

ちなみに強度と剛性はかならずしもイコールの関係にはなりません。たとえばガラスは割れやすい=強度が低いですが、変形しづらい=剛性は高い材料になります。

引張り強度

その名の通り、プラスチックを一定方向に引っ張ったときに、どのくらいまで壊れずに耐えられるのかを表すものです。

たとえばゴムは、伸びようとする力と同時に、戻ろうとする力(伸びたくない力)が発生します。ですが引っ張り続けると切れてしまいます。つまり戻ろうとする力(伸びたくない力)が限界に達すると、切れてしまうというわけですね。この限界のときに加えた力を数値化したものが引張り強度です。

プラスチックはあまり伸びるというイメージがないかもしれませんが、力を加えればゴムと同じように伸びたい力と戻ろうとする力(伸びたくない力)が生まれます。

もちろんゴムのように手で引っ張って伸びるものではありませんので、試験をするときには専用の試験機を使います。(下の写真をご覧ください)

引張り試験

引用:日本信頼性評価機構

真ん中に材料を挟んで上下に引っ張っていき、壊れたところで試験終了となります。

プラスチック敷板の引張り強度を調べると9MPa~29MPaとメーカーによって大きな差があります。数値が高いほど引っ張られる力に強いということになります。

曲げ強度

曲げたときにどのくらいまで壊れずに耐えられるのかを表したものです。こちらも名前の通りですね。

「曲げる」というのは弓形にしたり、たわんだ状態にすること。引張り強度と同じように、曲がろうとする力と同時に戻ろうとする力(曲がりたくない力)が発生します。しかし曲げ続けていけば、かならずどこかのタイミングで亀裂がはいったり、割れてしまいます。

このときに加えた力を数値化したものが曲げ強度です。力の加え方は違うものの、考え方は引張り強度と同じですね。プラスチック敷板の曲げ強度を調べると10MPa~1454MPaととても大きな幅があり、メーカーにより特性が違うことがわかります。数値が高いほど曲げる力に対して強いことになります。

敷板は車など移動する物体を支えるため、真上からの力だけではなく、さまざまな角度からの荷重に耐えられなくてはなりません。そのため曲げ強度がとくに重要となります。

曲げ強度を測るには、曲げ試験を行います。材料を水平に置いて上から力を加えていき、亀裂が入ったり割れるまで力を加え続けます。(曲げ試験で使うのは下の写真の機械です)

曲げ試験

引用:株式会社DJK

試験方法には主に以下の2つがあり、

・3点曲げ:材料(曲げ試験片)の両端を支えて中央に力を加える方法

・4点曲げ:左右の両支点から等しい距離の位置に同じ大きさの2つの力を加える方法

プラスチック敷板の試験は3点曲げで行われることが一般的です。

圧縮強度

圧縮とは圧力を加えて体積(物の大きさ)を小さくすることです。上から押す力を加えたときに、どのくらいの力までなら耐えられるのかを表すものです。

市場に出ているプラスチック敷板の圧縮強度の幅は24MPa~59MPaの間で、数値が高いほど上から押される力に強いと言えます。指標となります。

圧縮強度を調べるには、下の写真のように材料を挟むかたちで力を加えていきます。上から力を加えるのは曲げ試験と同じですが、下の部分を固定して行う点が違います。これも材料が壊れるまで試験を続け、壊れたときの力を測定します。

圧縮試験

引用:日本信頼性評価機構

摩耗度

摩耗とはかたい材質の物がすりへることで、車のタイヤをイメージするとわかりやすいと思います。タイヤと路面の間に摩擦が生まれることでタイヤが少しずつすりへっていき、溝が浅くなっていきますよね。これが摩耗です。

プラスチック敷板の場合は、工事車両などが通ることで摩耗していきます。この摩耗の度合いが低いほど劣化を遅らせることができ、長く使うことができます。

摩耗試験では一定の力を加えて金属製のボールを材料に当てて、一定の速度、距離で30分間こすり、材料に発生した摩耗の深さと幅を計測します(*)。見た目が同じようなプラスチック敷板でも、ある実験結果によると摩耗の深さは30µm~885µm、摩耗の幅は1450µm~5115µmと、敷板の樹脂のグレードでかなりの差があります。どちらも数値が低いほど摩耗しにくいということになります。

*摩耗試験の方法はいくつかあり、一例をご紹介しています。以下の写真は今回ご説明した試験で使う機械です

摩耗試験

引用:新東科学株式会社

ひとことで「プラスチック敷板」といっても、材料や製品によって強度は大きく変わってきます。もしプラスチック敷板をご検討される場合は、引張り強度、曲げ強度、圧縮強度、摩耗度をぜひチェック(※)してみていただければと思います。

※製品のホームページやカタログに記載してあることが多いです

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